バイト代と貯金をはたいて手に入れたのになあ。かなりショックでした。
あれから10年。仕事先が変わりまして、バイク購入。ホンダのリトルカブ。
こういうフォルムが好きなのかも。今度こそは長生きさせるぞ〜☆
——あれは私たちが取り替えるんです。航空障害灯といって飛行機などがぶつからないように付けてあるんですけど、構造的には赤い強化ガラスの中に五百ワットの電球が二つ入っているだけのものです。その電球をナップザックに詰めて、てっぺんまで登っていって取り替えます。でも、切れたら取り替えると言うんではないんです。あそこには、各民放とNHKのアンテナがついています。そこに万が一にもトラブルが発生したら大変なことになってしまいます。だから、一年に一度、アンテナの点検をする際に取り替えてしまうんです。
東京タワーには、百五十メートルのところに大展望台、二百五十メートルのところに特別展望台があって、そこまではエレベーターで登れることになっています。しかし、そこから先は自分の手と足で登っていくしかありません。しばらくは階段がついていますが、やがてすぐに剥き出しの垂直のハシゴを登っていかなくてはならなくなります。そして、NHKのアンテナがある三百十三メートルから上は、そのハシゴすらなくなってしまうんです。航空障害灯のある三百三十三メートルのところまで行くには、三角定規のような形に折り曲げられたパイプ状のアンテナをよじ登っていくことになります。もちろん、命綱などつけません。そんなものをつけたら邪魔で登れないからです。
といっても、私たちはトビ職人でもなければ、特別な訓練を施された専門の要員でもありません。放送用のアンテナのメンテナンスを 担当している古河電工の普通の社員にすぎないんです。実際、私にしたところで、鉄塔に登るつもりでこの会社に入ったわけではありません。配属されたところがたまたまアンテナ部門だったというにすぎないんです。
沢木耕太郎「鉄塔を登る男」




ぼくは次第に、社会の中で意味のわからないシステムや組織が存続し続けている理由は、悪意よりもむしろ単純に「できない」のだと考えるようになった。記者クラブに頼る記者は、それ以外のやり方を知らないのである。ペーパーテストだけに頼る大学入試は、それ以外の手段を尽くす方法もリソースもないのである。新卒一括採用を続ける企業は、それ以外の採用の仕方を知らないし、できないのである。







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