ほんとの空を見に行こう。

9月始めに1泊2日でプチ山行。智恵子抄で有名な安達太良山(1700m)を登りました。
学生の頃に一度登ったことがあるのですが、名物のガスと強風のWパンチで参った記憶が。


今回は両日ともに快晴。絶好の日和です。
くろがね小屋から峰の辻分岐にて。左上に見えるのが安達太良山山頂。



山頂についたのは午前8時。日差しは強いものの風もなく、なにより人がいない!



誰かがこっち見てます。




祠で小休止したら、ここから牛ノ背~馬ノ背、矢筈森をこえて鉄山へ向かいます。









途中すれちがった登山者は、鉄山から箕輪山~鬼面山と抜けて野地温泉に降りるとか。
「最高の天気じゃないですか!」とばかりに煽られましたが、猫巻らは避難小屋まで。
だいじょうぶ、山は逃げません。



稜線からは360°のパノラマに加え、西に沼ノ平火口、東に小灌木の緑を見渡せます。


ピストンで安達太良山頂に戻ると、ゴンドラから来た人で大にぎわい。早めに登って成功。



今回の安達太良山コースは、標高の割に見応えのある山行となりました。
天候にも恵まれ風に吹かれることもなかったので、これが初めての山ならラッキーです。
10月の紅葉シーズンには混雑が予想されます。合間の時期が狙い目ですよ☆

まわれ右して、前へすすめ!

美しい思想がある。
ガツンと、頭を殴られたような感覚であった。


猫巻はそのころ、北欧雑貨やデザイン小物が好きで、けっこう集めてた。

洋服も好きだった。
国内ではモノづくりにこだわったブランドが好きだったし
ネットで海外から取り寄せたりすることも多かった。


そんな猫巻を どれだけ意識していたか知らないが、
当時つきあっていた恋人ときたら、ファッションに頓着が無い。
しまむら等でテキトーにそろえて、同じ服を何年も着回していた。
日本に観光でくる欧米人、Tシャツとデニムだけ、みたいな感じ。


部屋も 質素なもので、デスク周りにPCとコンポがあるだけ。
本もほとんどない。図書館で借りて読むからだそうだ。


女の子なんだからさ、もうちょっとオシャレしてもいいんじゃない?
 と、わたしが言うと、彼女はこういった。


 「大切なものはスーツケース一杯に入る荷物だけにしたいの」


 「これ一つで、いつでもどこにでも行けるようにしたいから」


このコトバに、わたしはガツンと頭を殴られたような気分だった。


わたしたちは たくさん稼いで、たくさん欲しいものを買うけれど
それが本当に必要で、本当に大切なものか、よくわからない。
わからなくって、不安になるから またそろえてしまう。

わたしたちの生活は タシザンの連続だ。
あれ買って、これ買って、また買って。でも満足しない。
あれ読んで、これ知って、また聞いて。でも物足りない。
増えて、増やして、それが幸せへの近道と考えている。

彼女の思想は美しい。ヒキザンの思想である。
あれいらない、これいらない、もうじゅうぶん。
そうやって身の回りものを捨てていって、大切なものだけを残した。
彼女は自分に必要なものをわかっていた。

旅行の好きな女性だった。
ひょっとすると、自分の周りに何もおかなかったのは
外に出れば何でもあるってことを知っていたからなんじゃないだろうか。
そういう意味で、自由な人であったと思う。


今でもたまに連絡をとる。
今年の夏はドイツ~スイス~フランスに行ってきたそうだ。
暑中見舞いにユングフラウの絵はがきが贈られてきた。


猫巻は彼女のように なれないだろうけれど
ときどき、今の生活から まわれ右してみたくなる。


積み上げたものを全部ほっぽりだして、駆け出してみたい。

その先に何があるのかわからないから
もう一回 まわれ右して、元に戻ってしまうんだけれど。