ねこまきニッポン昔ばなし

むかしむかし、あるところに おじいさんとおばあさんが すんでいました。


おじいさんは 山へ しばかりに





おばあさんは 川へ せんたくに行きました




おばあさんが 川でせんたくをしていると、

大きなものが ドンブラコ ドンブラコ と流れてきました


「そうだ 今日の夕飯はこれにしよう」

おばあさんは それをひろいあげて 家に持ち帰りました。



おじいさんとおばあさんが 夕飯に食べようと切ってみると

なんと 中から げんきのよい こどもが飛び出してきました。

ポポポポーン




こどもは「ねこまき」と名づけられ、スクスク育って、やがてイケメンになりました。





ある日のことです。 ねこまきがいいました。


「おじいさんおばあさん、ねこまきは鬼ヶ島の悪い鬼たちを退治してきます」


それを聞いたおばあさんは


「これを持って行きなさい。きっと旅のおともに役立ちます」

といって きびだんごをわたしました。




旅のとちゅうで ねこまきは



イヌや






サルや






キジをおともにし、



はるか鬼ヶ島へと向かうのでした。





鬼たちは近くの村からぬすんだ宝物やごちそうをならべて、酒盛りのまっさいちゅう。


「わっはっは。じゃまするやつは、ようしゃしないぞ」



思わずひるんだ ねこまきは おともに意見をもとめました。



すると おとものイヌがこういうのです。


「自己と他者の二項対立でとらえた競争社会はもう時代遅れです。リベラリズムの名の下に過度な資本主義が現代にもたらしたのは格差とラットレースでした。今わたしたちに求められているのは、世代を超え、地域を超え、文化を超えた世界市民としてのコミュニタリアニズムの構築です。私たちが望むものは、もはやここにはありません。思考をシフトし、人間が人間たり得るところに行くべきでしょう」




ねこまきはイヌの意見を採用しました。 つねにボトムアップ型なのです。





鬼ヶ島を去り、辿り着いた被災の現場は360°のガレキの山が広がります。

それはもう、どこから手をつければいいのか見当つかぬものでした。






しかし現地の人たちは たくましく、一つ一つガレキをかきわけます。

5年か10年か、復興までかなりの時間を要することは間違いありません。



都心部のマスコミや偉い人たちは、いち早く日常性を取り戻して経済を循環させることが肝要だといいます。しかし、窮乏状態にありながらモノを譲り合いシェアしている被災地がある一方で、企業存続のために限られたパイを必死に奪い合う経済活動が同じ日本で同時期に行なわれているということに、なんだかとても奇妙な感じがするねこまきは、口がもうあんぐりです。

(もうあんぐり)