今もだれかが、やっている。 〜被災地支援ボランティア

沢木耕太郎の『彼らの流儀』という本に「鉄塔を登る男」という話があります。
東京タワーの一番てっぺんの、チカチカ点滅している赤電球。あれを取り替えている男の話。

——あれは私たちが取り替えるんです。航空障害灯といって飛行機などがぶつからないように付けてあるんですけど、構造的には赤い強化ガラスの中に五百ワットの電球が二つ入っているだけのものです。その電球をナップザックに詰めて、てっぺんまで登っていって取り替えます。でも、切れたら取り替えると言うんではないんです。あそこには、各民放とNHKのアンテナがついています。そこに万が一にもトラブルが発生したら大変なことになってしまいます。だから、一年に一度、アンテナの点検をする際に取り替えてしまうんです。

東京タワーには、百五十メートルのところに大展望台、二百五十メートルのところに特別展望台があって、そこまではエレベーターで登れることになっています。しかし、そこから先は自分の手と足で登っていくしかありません。しばらくは階段がついていますが、やがてすぐに剥き出しの垂直のハシゴを登っていかなくてはならなくなります。そして、NHKのアンテナがある三百十三メートルから上は、そのハシゴすらなくなってしまうんです。航空障害灯のある三百三十三メートルのところまで行くには、三角定規のような形に折り曲げられたパイプ状のアンテナをよじ登っていくことになります。もちろん、命綱などつけません。そんなものをつけたら邪魔で登れないからです。

といっても、私たちはトビ職人でもなければ、特別な訓練を施された専門の要員でもありません。放送用のアンテナのメンテナンスを 担当している古河電工の普通の社員にすぎないんです。実際、私にしたところで、鉄塔に登るつもりでこの会社に入ったわけではありません。配属されたところがたまたまアンテナ部門だったというにすぎないんです。

沢木耕太郎「鉄塔を登る男」




(震災で地上アナログアンテナが曲がった東京タワーの修復作業の様子)




東日本大震災の発生から3ヵ月が過ぎようとしています。
みなさんの生活に変化はありましたか?


ねこまきは、東北道が開通した3月末から継続して、震災ボランティアに取り組んでいます。




(がれきの撤去や泥かき、側溝の復旧作業など)



(ヘドロを詰めた土嚢袋。膨大な量)



日本を支えているのは、一部の偉い人でも富める人でもない。賢い人でも凄い人でもない。

かっこいいとか新しいとか素晴らしいとか、きっとあんまり関係ない。

なんでもない無名のひとたちが、ずっとこの国を支え続けてきたのだと思います。



(宮城県石巻市住吉地区 4月初旬)


(同地区 5月初旬)


(同地区 6月初旬)


NPOメンバーの話では、GW明け〜台風以降と一般ボランティアが減り続けており、いま現地では、深刻なボランティア不足(人手不足)に悩まされているとのこと。
 
復旧し始めたのは、ほんの一部。まだまだボランティアは必要です。ぜひ力を貸してください。

(沿岸部など、ほとんど手の届かない地域も)


>>はじめての方は、各自治体・NPOのボランティアバスを利用するのが便利です。