2つのクラウン


仕事先で、クラウンの意味を聞かれて、はて?と思った。
クラウンって、英単語のクラウンです。


クラウンの日本語での意味は、もちろん「王冠」を指します。
おそらく高級車のトヨタ・クラウンもこの意味をなぞっています。


そんなことを、つらつら話していたら
「じゃあ、ピエロをクラウンっていうのはどうしてなんですか」 と聞かれました。

ムムム、じつによい質問であった。




「王冠」を指すときのクラウンは、CROWN と書きます。

また、「道化師」もクラウンっていいます。 CLOWN  と書きます。

似た発音なんですが、”R”と”L”でスペルが違うんですね。
ちなみに日本で道化師をさす時につかうピエロという言葉は、PIERROT フランス語です。



どちらのクラウンが先に成立したのか、猫巻は言語学者ではないのでわかりませんが、
意味合い的に中世頃までにはできた言葉だと考えられます。

封建制をしいた中世ヨーロッパにおいて、
王冠(CROWN)はピラミッドの頂点に立つ権力者が身に着けるものだからです。
一方で、そういった主従関係をとびこえられる存在にあったのが道化師(CLOWN)でした。
君主に向かって唯一、自由にものをいうことができたといわれています。
その当時、道化師は人であるが人にあらず、で、権力者の持ち物とされていました。
宮廷道化師(JESTER)という言葉が英語にあるように、ペットよろしく飼われていたということです。


似た響きを持つ言葉なのに、まったくの正反対の意味合いをもっています。

そう考えると、このクラウンという単語は、示唆に富んだ言葉であるといえますね。



そんなことを思いながら、
『裸の王様』って童話は奥深い内容してたんだな、と猫巻は気付くのでした☆